取組団体
飯舘村第12行政区
代表者 長正 増夫 さん
取組名称
大久保・外内結の郷づくり事業
取組の概要
飯舘村は6年間に及ぶ全村避難により、コミュニティを失い、加えて放射線に対する不安もあり、一人ひとりの心身が疲弊しています。こうした状況を改善するには、避難前の「結の精神(支え合い助け合う)」を再生させることが必要です。そこで地域住民が共同して作業・学ぶ機会として、実証栽培した小麦、雑穀、蕎麦を使用し、うどん・蕎麦打ち講座、食生活講座と不安解消を図る放射線講座を企画・実施しました。
取組の様子
実証栽培講座とうどん打ち講座には、45名が参加しました。地域と福島大の協働で実施した「小麦実証栽培」について、福島大の担当教授から実証栽培の成果報告や今後の取組についての講話を聴き、取組の必要性を共有しました。その後、講師によるうどん打ち講座を実施。参加者は自分たちの地域でつくった小麦のうどんの美味しさに感激し、今後の栽培意欲が高まってきたようでした。
食生活講座には50名が参加。避難生活で心身の不調を訴える人の改善に向けて、食生活専門家を招いて講座を実施したあと、専門家の指導のもと昼食メニュ-を調理し、参加者が一堂に会しておいしくいただきました。昼食には、免疫力を高める食生活についての講話もありました。
30名が参加したそば打ち講座では、蕎麦打ち専門家を招き、地域で実証栽培した蕎麦を使用した講座を実施しました。初めて体験された方もいて、蕎麦のできはまちまちでしたが、自分たちで作った蕎麦に満足していました。
最も心配な放射線についても、専門家による「放射線講座」を実施し50名が参加しました。約90分にわたる科学的データーに基づいた丁寧な講話に、放射線に対する理解が深まったと感じられました。
実施者の声
「参加者からは感謝の意を感じられる言動が多く、目的であるコミュニティ再生とひとり一人の生活再建に、少なからず貢献していることを感じています。現在の帰還者は高齢者が多いので、高齢者の生きがいづくりとして、経験や知恵が生かせる、雑穀類の栽培と加工販売をはじめ、地域の新たな農業六次化産業にむけた取組を進めていきたいと思います」
参加者の声
「うどん打ちやそば打ちは楽しく、講話は免疫力向上や放射線講座など不安を解消してくれるものでした。なにより地域のみんなで集まる機会があったことが嬉しく、ありがたかったです」